2012年10月24日水曜日

橋下氏と週刊朝日の問題

はじめに。橋下徹氏に関しての記事を直接読んではいません。週刊朝日というか、朝日新聞社に対しては、以前のブログでその記事内容を批判しました。でも決して橋下氏の政治姿勢や発言を支持しているわけではありませんし、個人的には嫌いです。嫌いなのは政治家になる前からなので、彼の出自を知る前からです。
今回の記事は、橋下氏の政治姿勢や考え方を探るのに、その出自を知ることから始めたいとの意図だったようです。 人間の考え方に、その人の育成環境が関係していることは確かにあるでしょうが、今回はその出自が同和地区(被差別部落と書きます)であることに触れている点に重大な問題があるわけです。
私が小中学生の頃、学校で同和教育が行われていました。最近はあまり聞かないのでどうなっているかわかりません。同和教育が行われないことイコール部落差別がなくなったことではありません。多くの人が身近に感じないだけで、差別は残っています。野中広務氏に関する書籍など(「野中広務 差別と権力」、「差別と日本人」)をみれば実態が多少分かります。
被差別部落の問題は人権に関わる問題であり、非常に敏感に取り扱う必要があるのに、朝日新聞社は人権意識が欠如しているとしか思えません。更に、橋下氏批判のためにその出自を明らかにしようとしたのであれば、その根底には明らかな差別意識があるわけです。取材や記事にした手法も問題ですが、大手新聞社のその意識こそ責められるべきです。

2012年10月13日土曜日

信大病院の医療事故に思う

先日の新聞記事です。麻酔と誤って止血剤を注射•••信大附属病院
事故は確認ミスによるものと思われます。幸い命には別状はないようです。
今回取り上げた理由は、その原疾患と手術についての疑問からです。他紙ではアキレス腱近くの潰瘍とあったので、やけどかと思ったら、重症虚血肢と書いてあります。閉塞性動脈硬化症(ASO)のようです。
ASOは主に下肢の動脈硬化により、血流障害から壊死に至る病気です。それだけ血流の悪い場所だから潰瘍ができるのですが、そこに植皮(皮膚移植)をした理由が知りたいですね。血流が悪いところに移植皮膚が生着することはないと思うのですが。血管付きの皮膚でないかぎり、移植片の皮膚は血流が元々悪いのに、血流の悪い場所に移植しても壊死する可能性が高いと思われます。
血流が良いのであれば、皮膚移植せずとも肉芽ができてくるはずです。湿潤療法をすれば。そこで手術の必要性と妥当性に多いに疑問があります。
信大病院ではASO治療に力を入れているようで、虚血の足を何とか切断しないように研究しているみたいです。今回の患者さんの背景は知りませんが、少なくとも切断の危機はなかったのでしょう。80歳代の高齢者に対して、皮膚移植でどれだけの成果が得られると思っていたのでしょうか。歩行可能ならば外来通院、湿潤療法もできます。(新しい創傷治療のサイトを参照)潰瘍を治すことだけが目的で、患者さん全体をみていないのではないかと思ってしまいます。
止血剤のアドレナリン(ボスミン)は一時的に末梢血管を収縮させて血流を悪くします。全身状態の悪化と皮膚移植の不成功があれば、手術は失敗です。その原因は術中のミスだけでなく手術の立案自体にもあるのではないでしょうか。
もし機会があれば、担当医の意見を聞きたいですが、無理でしょうね。

2012年10月9日火曜日

10月11日の診療について

急で申し訳ありませんが、10月11日(木曜日)の診療時間についてお知らせします。
木曜日はもともと午前のみの診療ですが、11日は午前11時までの診療とさせていただきます。在宅診療の患者さんで急な場合は、連絡いただけば対応させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します。

2012年9月25日火曜日

コレステロール値のこと

9月も下旬になり、すっかり涼しくなってしまいました。特定健診、高齢者健診も今週で終わりなので、未受診の方はお早めに。
今日受診された患者さんに健診の結果を説明したところ、雑誌「AERA」の記事のコピーをもらいました。ここ数年話題になっているコレステロール値をめぐる問題についての記事でした。少なくともコピー分の内容に目新しいところはなく、今さら記事にする価値があるのか疑問ですが、健診の時期に当たるので、インパクトはあるかもしれません。朝日新聞は嫌いですが、この記事についてあまり批判はしません。記事の内容は既知であることが多いからです。但し敢えて言うなら、「ラップ療法」の時と同様に脂質栄養学会側に偏向しすぎかと。
「コレステロール値が高くても低くても、死亡率や罹患率は変わらない」ということはあるかもしれませんが、「低い方が死亡率が高い」という場合には、「低い人の中に元々全身状態が悪い方がいる」というバイアスがかかっている可能性があります。この辺りを明確にしないと、少なくとも記事中のグラフだけで結論づけるのは難しいと思います。
結局先の患者さんは、LDL-コレステロール値が正常なので、一旦休薬することにしました。当院では、昔から内服している方はともかく、最近健診で高LDL-コレステロール血症を指摘された方に値だけ見て、すぐに投薬することはありません。食事療法や運動療法を勧め、その後の経過と御希望を聞きながら、薬を処方しています。極端に高い方や高血圧、糖尿病の方などには薬をお勧めしますが、絶対ではないし、中止や休薬もやぶさかではありません。
AERAの記事では、動脈硬化学会側は議論に応じていないと批判されています。議論しても多分正しい正常値(変な言い方ですが)なんて決められないと思います。主張が異なるからだけではなく、「正常値とは何か」というところまで突き詰めないといけないからです。「仮の正常値」を参考に日々診療しているので、今後も冷めた目でこの議論をみていこうかなと思っています。

2012年9月12日水曜日

健診のあり方

9月になってもまだ暑い日が続いています。7月から始まった特定健診も今月一杯です。
昨年も書いたと思いますが、できれば対象者は受診してください。
特定健診は主に成人病予防のための健診、高齢者健診は健康状態把握のための健診と思っています。ただ実際のところ高齢者健診を受けている方は、すでに何らかの疾患で医療機関にかかっている場合が多いです。定期的な血液検査やレントゲンを撮影していれば、必ずしも健診は必要ない気がしています。
開業したころに、進行した腎不全、呼吸不全の方が高齢者健診を受診されました。以前受診されていたので、当院を信頼して健診を受けられたと思うのですが、歩行もやっとの状態でした。健診は行いましたが、当然データも悪く、その数ヶ月後に亡くなられました。
当院の患者さんは(超)高齢者が多いものの、皆さんお元気なので、健診をする意義は十分あると思っているのですが、世の中の高齢者全体ではどうなのでしょうか。
本来は成人の特定健診にもっと力をいれるべきではないかと、考えています。成人病に一生かかる医療費を考えれば、若年者優先と思います。
毎年受診率が低いことが問題ですが、率や数だけでなく、その対象や内容も再評価すべき時期と思います。

2012年8月31日金曜日

野菜と塩素

まずはサッカーの話からですが、ヤングなでしこ(この言い方は好きではないけれど、便宜上)は韓国に勝ちました。毛頭ナショナリズムを煽る気はなく、純粋にスポーツとしてがんばってほしいと思っていました。ヤングなでしこ、オープンな日韓戦がもたらしたもの
という記事にも書いてある通りです。
北海道を中心に発生したO-157の問題ですが、感染源として浅漬けが原因とされています。普段外食でついてくるような浅漬けは、塩素消毒が必要みたいです。恥ずかしながら知りませんでした。ホルマリンで消毒(滅菌)されているよりはマシですが、塩素で洗っているのかー ・・
大量生産で、多くの人の口に入るから仕方ないのかもしれませんが。何となくね。
我が家ではスーパーの野菜だけでなく、親しくしている無農薬栽培の農家さんなどからも直接野菜を買っています。さらに今年は、ご近所の方などからも多くの野菜をいただいてとても助かっています。自宅の庭にはミニトマトもあります。どれもおいしくて、生、サラダ、浅漬け、ぬか漬けなどで食べています。これらの野菜も、土壌の関係などで汚染する可能性はないとはいえませんが、塩素消毒しなくても食べられるのは幸せです。
土と自然の恵みに感謝するとともに、作った方達にも感謝です。

2012年8月20日月曜日

戦後はいつまでも

お盆休みの間には67回目の終戦の日がありました。夏は戦争、戦後を考えさせる季節でもあります。
この時期に竹島や尖閣諸島の領土問題が日本、韓国、中国の間で再燃。その前には北方領土問題もロシアとの間で出ていました。領土問題の裏には相手国の内政事情がからんでいる(韓国は大統領の資金問題から支持率の低下、中国は秋の共産党大会、ロシアも大統領、首相の支持率低下など)とはいえ、結局皆日本外交の弱腰姿勢をついてきています。
ナショナリズムを煽られ、謝罪を要求され、反日デモを起こされる。戦争時のことを今でも蒸し返され、領土問題で強く出られないのは、結局戦後の外交に誤りがあったからと思います。謝罪が足りないとかではなく、外交姿勢、方針がどこか違っていた部分があるのではないでしょうか。
よく戦後ドイツとの違いが言われます。アジア(日本と諸外国)とヨーロッパにおける状況は違うものの、ドイツは大国復活の懸念がありながらも、今ヨーロッパの盟主として外交を果たしています。戦後をうまく乗り切ったといえるでしょう。日本の戦後は(先の戦争は)いつ終わるのでしょうか。
経済問題や北朝鮮問題のために韓国や中国に対して強硬になれないのは、外交を含め今の日本の政治姿勢がおかしいからと思います。民主党に限らず、自民党など野党も仮に与党の立場であれば、同じような対応をしたでしょう。財界とアメリカには従うだけなので。
戦争を始め、やめる機会を逃し、多大な犠牲者を出して敗戦に至ったのは、当時の政治家と軍部のリーダーが、政治外交の方針を誤ったからです。今戦争になることはなくても、誤った姿勢が続けば国難に至る可能性があります。維新の会とかいうのも、結局は国政では素人で期待薄です。このまま選挙になっても、どうしたらよいのでしょうかね。