2014年4月8日火曜日

人間ドックの基準値

4月になりました。松本は寒いので梅が咲いて、これからようやく桜というところです。
なぜ今頃?今さら?という感じで、「人間ドックの新基準値」のニュースが出ました。今までよりも大幅に緩和した値(つまり高い値でも)「健康」と診断してよいというのです。以前から健診の基準値が厳しいということは、このブログでも書いてきました。これから緩めたら、今まで高脂血症や高血圧といわれて治療してきた人は何なの?と思うでしょう。
今回の新基準値はそれでもよいと思いますが、ニュースで気になったことは、「平成23年に受診した人のなかで病気のない健康な人を抽出」とありました。「健康」の定義は何なのでしょうか?
過去の健診で基準値外であれば、「高脂血症」と診断されているはずで、すでに「病気」とされていると思うのです。高血圧や高脂血症は症状ではなく「検査値で診断される」病気です。仮に値が高くても、狭心症や脳梗塞になっていない人を「健康」としたのであれば、2,3年の間にこれらに罹患する人は少ないので、確かにほとんどの人は「健康」と判定されます。ましてやドックの受診者の多くは30〜60歳くらいまででしょうから、動脈硬化性疾患にかかる確率は低いはずです。「旧基準値外」の人達が、10年、20年後に検査値が変化するのか、動脈硬化性疾患に罹患するのか、長期的に経過をみないと、「新基準値」の結論は出ないと思います。
製薬業界や医療費がからんでくるので、臨床系の医学会は今回の発表に対して反論してくると予想されます。以前のコレステロール値でもそうでしたが、不毛で醜い争いがまた始まりそうです。