2012年9月25日火曜日

コレステロール値のこと

9月も下旬になり、すっかり涼しくなってしまいました。特定健診、高齢者健診も今週で終わりなので、未受診の方はお早めに。
今日受診された患者さんに健診の結果を説明したところ、雑誌「AERA」の記事のコピーをもらいました。ここ数年話題になっているコレステロール値をめぐる問題についての記事でした。少なくともコピー分の内容に目新しいところはなく、今さら記事にする価値があるのか疑問ですが、健診の時期に当たるので、インパクトはあるかもしれません。朝日新聞は嫌いですが、この記事についてあまり批判はしません。記事の内容は既知であることが多いからです。但し敢えて言うなら、「ラップ療法」の時と同様に脂質栄養学会側に偏向しすぎかと。
「コレステロール値が高くても低くても、死亡率や罹患率は変わらない」ということはあるかもしれませんが、「低い方が死亡率が高い」という場合には、「低い人の中に元々全身状態が悪い方がいる」というバイアスがかかっている可能性があります。この辺りを明確にしないと、少なくとも記事中のグラフだけで結論づけるのは難しいと思います。
結局先の患者さんは、LDL-コレステロール値が正常なので、一旦休薬することにしました。当院では、昔から内服している方はともかく、最近健診で高LDL-コレステロール血症を指摘された方に値だけ見て、すぐに投薬することはありません。食事療法や運動療法を勧め、その後の経過と御希望を聞きながら、薬を処方しています。極端に高い方や高血圧、糖尿病の方などには薬をお勧めしますが、絶対ではないし、中止や休薬もやぶさかではありません。
AERAの記事では、動脈硬化学会側は議論に応じていないと批判されています。議論しても多分正しい正常値(変な言い方ですが)なんて決められないと思います。主張が異なるからだけではなく、「正常値とは何か」というところまで突き詰めないといけないからです。「仮の正常値」を参考に日々診療しているので、今後も冷めた目でこの議論をみていこうかなと思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿