2012年10月13日土曜日

信大病院の医療事故に思う

先日の新聞記事です。麻酔と誤って止血剤を注射•••信大附属病院
事故は確認ミスによるものと思われます。幸い命には別状はないようです。
今回取り上げた理由は、その原疾患と手術についての疑問からです。他紙ではアキレス腱近くの潰瘍とあったので、やけどかと思ったら、重症虚血肢と書いてあります。閉塞性動脈硬化症(ASO)のようです。
ASOは主に下肢の動脈硬化により、血流障害から壊死に至る病気です。それだけ血流の悪い場所だから潰瘍ができるのですが、そこに植皮(皮膚移植)をした理由が知りたいですね。血流が悪いところに移植皮膚が生着することはないと思うのですが。血管付きの皮膚でないかぎり、移植片の皮膚は血流が元々悪いのに、血流の悪い場所に移植しても壊死する可能性が高いと思われます。
血流が良いのであれば、皮膚移植せずとも肉芽ができてくるはずです。湿潤療法をすれば。そこで手術の必要性と妥当性に多いに疑問があります。
信大病院ではASO治療に力を入れているようで、虚血の足を何とか切断しないように研究しているみたいです。今回の患者さんの背景は知りませんが、少なくとも切断の危機はなかったのでしょう。80歳代の高齢者に対して、皮膚移植でどれだけの成果が得られると思っていたのでしょうか。歩行可能ならば外来通院、湿潤療法もできます。(新しい創傷治療のサイトを参照)潰瘍を治すことだけが目的で、患者さん全体をみていないのではないかと思ってしまいます。
止血剤のアドレナリン(ボスミン)は一時的に末梢血管を収縮させて血流を悪くします。全身状態の悪化と皮膚移植の不成功があれば、手術は失敗です。その原因は術中のミスだけでなく手術の立案自体にもあるのではないでしょうか。
もし機会があれば、担当医の意見を聞きたいですが、無理でしょうね。

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