2014年7月29日火曜日

老人ホームは病院ではありません

当たり前のことですが、老人ホームは病院ではありません。みんな分かっています。看護師は常駐ではなくてもいるし、医師も時々診察に来ます。でも病院ではないので、行える医療行為には限界があります。
ここで既に何回か書いていますが、多くの病院が急性期型に移行し、介護病棟がなくなり、社会的入院と言われていたものが許されなくなった現在、自宅へ退院できない人は施設に入らざるを得ない状況になっています。毎回具合の悪くなった入居者さんをどう診ていくのか、入院がよいのかどうなのか、迷うことばかりです。提供できるなかでは最上の医療をと思ってやっています。
せめて送り出す病院側は、全身状態に関する情報提供書をしっかり書いてほしい。「胃がんは治療しないことになりました」の一文だけでは、どの程度の進行度かも分からない。尿カテーテル挿入のままで退院もOKですが、一般的なカテーテルに変更してからとかできませんか? 病院の勤務医で開業医(や他院の医師)への配慮がない人はたくさんいたので、びっくりはしませんが、この頃続いたので一言書きました。頭が痛くなるのは、梅雨明けの暑さのためばかりではありません。

2014年7月10日木曜日

理想と現実

ドタバタしているうちに7月になっていました。更新せずにいました。いつの間にかサッカーW杯も決勝(と3決)のみになってしまいました。本日10日は地元地区での災害医療の説明会の予定でしたが、台風の影響で中止になりました。
理想は高い方が良く、その理想の実現に向って進むというのが何事においても大事なことです。しかし実際にはそううまくいかなくて、理想を捨てて現実的な路線を歩まざるを得ない事が多々あります。私が開業当初に描いていた理想像は、かなり甘いもので夢想に近いものでした。それでも何とか続けてきて、わずかながら理想に近くなったところはあります。例えば在宅医療であったり、傷の治療であったり。まだまだ変革したいこと、進化させたいことは山ほどあるので、現実にくじけず続けたいと思っています。
それは今回のW杯を見て感じることでもあります。ベスト4のチームは、1)理想を捨て現実的に戦うオランダ、2)理想形なのか、極めて現実的なアルゼンチン、3)理想を実現しかつ現実に即した戦い方のドイツ、4)理想と現実の間で揺れ動いたブラジルと分けて考えました。3)が最も望ましいことは確かですが、勝つことが前提であれば、1)や2)も有力な方法です。日本は4)のタイプだと思います。結果が出れば良かったのでしょうが、4)はどうしても失敗としか見られません。ドイツは過去の挫折から立ち上がり、理想のサッカーを少しずつ進めてきました。優勝するかはともかく、その国とチームの姿勢に学びたいと思います。