2012年6月15日金曜日

幼児(6歳未満)の脳死判定

昨日、富山で6歳未満の子供に対する脳死判定が行われました。昨年10歳以上15歳未満の子供に初め脳死判定が行われていましたが、幼児は国内で初となりました。日本では、成人でも脳死判定は臓器提供の意思がある場合のみにしか行われません。「脳死に近い状態」であってもその意思がなければ、判定は行われずに心臓死まで治療を続けることになります。
臓器移植法が改正され家族の承諾で臓器提供が可能となっても、子供の臓器摘出に同意するのは親にとってとてもつらい選択であったと思います。発表されたコメントは短いですが、その裏にどれほどの思いがあるのか。勇気ある決断をしたことを尊敬します。
昨年から近くの予備校で特別講義をしていて、先端医学や医療の様々な問題について話をさせてもらっています。「脳死と臓器移植」の問題についても話しました。移植待機患者が多いこと、それに比して提供者が少ないこと、提供する意思と同時に提供しない意思も尊重しなければいけないこと、などを話しました。多くの小児患者が海外へ移植に行かざるを得ない状況は改善されるべきですが、その一方で小児の脳死判定に悩む親の気持ちも大切にしなければいけません。今回のことを機に、この問題について家庭や職場などで話し合ったりするといいのではないかと思います。
小児の場合には虐待の問題も絡みます。今回はなしと判断されていますが、プライバシーの問題もあり、脳死に至った経緯はおそらく詳しくは発表されないでしょう。脳死移植については、その透明性を批判する人が必ずいます。できるだけの情報提供(公開)が望ましいとは思いますが、難しいでしょう。ただ一つ、救急医や小児科医が小児を助けるために全力を尽くすことは当たり前なので、その治療が適切だったかなどと批判することはまちがっていると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿